運行管理者の業務について
運行管理者の選任と業務内容について、
重大事故と運行管理者の責任について
重大事故発生で、何故運行管理者が逮捕されるのか? 運行管理者の責務と責任について考えます
運行管理者の業務と責任
運行管理者の業務
2016年3月山陽自動車道の八本松トンネルの多重衝突事故で運行管理者が逮捕されました事故はまだ最近の話で内容を覚えておられる方も多いと思います。今般貨物自動車、旅客自動車の重大事故発生で運行管理者逮捕という記事が目に入ります。
事業主の逮捕は当たり前でも何故社員の運行管理者が逮捕と疑問に思われませんか?
そもそも運行管理者とは何でしょうか?
この疑問にお答えいたします。
貨物自動車運送事業法の18条に以下のような項目があります。
運行の安全の確保に関する業務とは、本来事業者が安全に関わる業務を事業者に代わって業務する為の人員で、平成25年度からは貨物自動車1台保有でも運行管理者選任が必要です。
だけど一介の社員が運行管理者になったとしても果たして従業員が従ってくれるでしょうか?
事業者の権限と、指導に従う項目が貨物自動車運送事業法第22条で、決まっています。
以下に運行管理者の業務を説明します。
1.定められた勤務時間、乗務時間内での乗務割り(配車)及び運転者を事業用自動車に乗務させること
2.長距離、夜間常務の際交代する為の運転者の配置
3.過積載防止、偏荷重防止、荷崩れ、落下防止、積載方法について従業員に指導及び監督
4.対面点呼の実施、疲労、疾病、飲酒、薬物その他安全運転阻害の有無、運転者の報告、指示、点呼記録、保存
5.従業員の健康状態の把握、安全運転できない恐れの乗務員を乗務させない
6.乗務の記録を運転者に対し、記録させ、その記録を保存
7.乗務員の休憩、又は睡眠のための施設の適切な管理
8.運行記録計の管理、記録の保存、運行記録計不備の自動車の運行禁止
9.アルコール検知器の維持、適切な管理
10.定められた場合運行指示書の作成、運転者への携行
11.乗務員の健康の把握と健康診断受診の指示及び確認
12.通行禁止、速度超過、制限等違反について従業員の指導及び監督
13.事故発生時の適切な指示、事故の原因・対策指示、事故報告書の記録及び保存
14.特別な運転者(事故惹起運転者(頻繁に事故発生)初任運転者、高齢運転者)に対し、安全確保の為、特別な
指導を行い且、国土交通大臣認定の適性検査を受けさせる
15.異常気象時の場合に乗務員に適切な指示を行う
16.過労運転防止の為、4時間を越える連続運転の禁止、運転時間、急速時間の確保、休日出勤等の制限等労働
基準法に違反しないよう指導、監督
17.事業者より選任された運行管理補助者に対する指導、監督
18.事故防止対策に基き、事業用自動車の運行の安全に対する指導、監督
これだけの業務があり、尚且つ、安全に気を配り、運転者の勤務と、健康状態の把握、事故防止等の本来事業者がやらねばならない事項を行う、大変に重大で、大きな責任を負わされています。
このため、運転者の過失による重大事故については、運行管理者の業務不行き届きになり、資格証の失効や、場合によっては運行管理者の逮捕に繋がる訳です。単に運行管理者の資格があれば、仕事が見つけられやすいとか、給与が上がるといった、甘い考えだけで、運行管理者になると大変な目にあいますよ。相当な覚悟を持って仕事をされる方だけが、運行管理者になれると思います。